ゴルフ上達への提言

ゴルフの分解写真
Golf swing
 
この分解写真は1997年4月に撮影したものです。1978年に撮影したものと比べてもほとんど同じです。
これはスタートホールで実際のティーショットを撮影したもので、特にカメラを意識したものではなく、ごく自然な自分の個性の出たスイングです。
ここで言えることは、人のスイングはその人の歩く姿と同じで、どう変えてみてもあまり変わらないと言うことになります。
この前提の下で、ゴルフ上達へのひとつの考え方を提言します。
このゴルフ理論は、全ての人をシングルプレーヤーに導くものではありません。
各個人が持っている潜在能力に対してベストを引き出そうとするものです。
従って、ある人はシングル、ある人は100を切れるようになる、またある人はいくら練習しても少しも上達しないと言うことにもなります。
 
■スポーツの基本は構え
ゴルフのスイングのフォームは変えようもないとしたら、ショットを放つ一連の動作の中で変えることのできるのは、最初の「構え」だけと言うことになります。 ここで言う「構え」とはティアップ・アドレス・ボールの置く位置、スタンス、グリップ、呼吸、こころ、姿勢、そして全体の立ち振る舞いの全てを意味したものです。
そこで練習場で、ただ球を打って良い球が出た出ないと一喜一憂してもあまり効果がありません。 それはどんな「構え」で打ったか覚えていないからです。この「構え」で打ったら、こんな良い球が出た、そうすればこの同じ「構え」で練習をしていけばいつも良い球が打てることになります。 言い換えればその人のスイングに合ったベストの「構え」でいつも打てることになります。
 
■ゴルフ上達の基本
「構えが全てを決める」静から動に移るスポーツは、すべて構えが最も重要であると考えられます。相撲、剣道などの格闘技でも、また野球、テニス、バドミントンなどの球技でも、相手に対しての構えが要求されます。ましてゴルフのティショットのように、より遠く、より真っ直ぐに、より正確にヒットしたいと言うエゴの塊みたいな自分と言う相手に対して、この構えを創ると言うことが、いかに重要不可欠であるかは言うまでもありません。
 
■ゴルフの練習方法
もうひとつは、ゴルフのフォームは変えようもないと言いましたが、ひとつたけ変えることができることがあります。それはテイクバックのスピードです。自分で感じている以上に早いテイクバックになっているものです。良いショットが出た場合は大抵このテイクバックがゆっくりだった場合です。 このことから、テイクバックを極端にゆっくりと力まずにすれば、球を芯で捕らえる確率が上がります。 自分に合った「構え」で、ゆっくりと力まずに、自分のスイングをすれば、間違いなく上達します。フォームを変えようなどと思って練習場に通うのは大きな誤りです。早く自分のスイングに合った「構え」を見つけることが最も上達への近道です。
 
■構えの基本
「構え」で誰にでも共通の基本事項がひとつあります。それはアドレスをした時に両方の腕がグラウンドに対して垂直になっていることです。これは、①誰にでもすぐ出来る、②ボールを芯で捉えやすい、③コックによるリストのパワーがヘッドに伝わる等の利点があるためです。このことから自分に合ったクラブとは、両腕を垂直にアドレスしてクラブのライ角が、地面と水平になることがクラブ選択の絶対条件であると言えます。
 
■ゴルフと素質
理想的なスイングのフォームとそれに合った「構え」をいくら教えて貰っても、そんなスイングはいくら練習しても完成しないからです。全てのゴルファが、全て同じようなマシンのようなスイングが練習で完成するとは考えられないからです。歩く姿と同じようにスイングはヒトのゲノムのDNAに書き込まれたもの、いわゆる素質だと仮定すると、唯一変えることのできる「構え」は、人に教えてもらうものではなく、自分でこのDNAを読み出すことにほかならないからです。このことからも、自分のDNA(素質)のスイング情報に合った構えを得とくする必要があるのです。最近の若手のツアープロが、皆同じような個性の無いスイングをしているのは、理想的なスイングのできるDNA(素質)を持った選ばれた人たちの集団だからです。従ってアマチュア(そのことを愛する)の場合は、理想的スイングの完成を目指すのではなく、自分に与えられているDNAのスイング情報の範囲の中で、自分にとって最適のゴルフを追究して楽しむことではないでしょうか。
 
■ゴルフと年齢
一般的に、いわゆる年をとってくるとゴルフが下手になってくると言われますが、物理的に力が衰えることはあっても下手になったわけではありません。加齢と言うDNA情報の変化に適合した視点で自分にとっての最適ゴルフを考えていないからです。力が落ちてもそんなに飛距離が変わるものではありません。飛距離を落としているのは、自分自身のゴルフに対する考え方です。
 
■ゴルフがわかる
「知る」ということと「わかる」と言うことは違うのです。例えばテイクバックをゆっくりと、ヘッドアップをしないように、三角形を崩さないように、前上がりのときはフックしやすい、前下がりのときはスライスしやすい、こんなことは誰でも知っています。しかしこれが実行できなければ、知っていても知らないのと同じです。実行できて初めてわかった事になります。自分の「構え」を確立して「わかる」域に達することが必要です。